地球温暖化の原因・影響
温室効果ガスの役割
地球は太陽からの日射によって暖められています。一方で、地球の表面からは赤外線が放出され、地球を冷やそうとしています。太陽からの日射に対しては、大気はほぼ透明ですが、地球から放射される赤外線に対しては、温室効果ガスを含む大気は強く吸収する性質をもっています。
そのため、赤外線は大気に吸収されて熱となり、さらに大気から赤外線が再び下向きに放射されることで、地表面の気温が下がりにくくなります。この仕組みを温室効果といいます。
大気中のさまざまな気体による温室効果への寄与を見ると、水蒸気が約6割、二酸化炭素が約3割、その他の気体が約1割とされています。水蒸気の寄与が最も大きいですが、水蒸気は人間活動によって直接排出される温室効果ガスには含まれません。
一方、人間活動による二酸化炭素の増加によって気温が上昇すると、大気中に含むことのできる水蒸気量が増え、その結果、温室効果がさらに強まり、温暖化が加速されます。

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●太陽放射
●赤外放射
●温室効果ガス
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温室効果ガスの濃度が増えている
地球の平均気温は、大気がなければ約−18℃になると考えられています。しかし、地球には温室効果ガスを含む大気があります。そのため、地球の平均気温は約15℃となり、生物が暮らしやすい気候が保たれています。問題は、その温室効果ガス、特に二酸化炭素の濃度が年々上昇していることです。
二酸化炭素の濃度は、ppmという単位で表されます。1800年代の産業革命前には約280ppmであったものが、その後300ppmを超え、400ppmを超え、2023年には約420ppmに達しています。このような大気中の二酸化炭素の増加が、近年の地球温暖化の主な要因の一つであると考えられています。
実際に、岐阜の気温もこの100年ほどで約1.9℃上昇しています。過去(1915~1924年)の岐阜の夏日(最高気温25℃以上)は、平均116.3日(約4か月)であったのに対し、現在(2015~2024年)では平均150.1日(約5か月)となっており、夏の期間が1か月近く長くなっています。一方、過去の岐阜の冬日(最低気温0℃以下)は平均63日(約2か月)でしたが、現在では平均21.8日(1か月未満)となり、冬の期間は1か月以上短くなっています。
この気温上昇には都市化の影響も含まれていますが、多くは人間が化石燃料を燃やすことで排出した二酸化炭素の増加によって生じていると考えられています。


人間活動により温暖化している
さて、本当に人間活動により排出された二酸化炭素によって、温暖化が起こっていると言えるのでしょうか。
その答えを示してくれるのが、「気候モデル」と呼ばれるコンピュータ上で気象や気候の変化を再現・予測する技術です。みなさんが普段、テレビやスマートフォンで見ている天気予報も同じ考え方にもとづく技術によって作られています。この気候モデルを用いることで、地球の平均気温の変化を計算することができます。
この気候モデルを使い、過去に人間が排出した二酸化炭素の影響を考慮して計算したところ、右図に示すように、シミュレーションによる気温(橙色の線)は、観測された気温(黒い実線)とよく一致することがわかります。一方で、仮に産業革命以降(1850年以降)に、人間が二酸化炭素をほとんど排出していなかったと仮定すると、シミュレーションによる気温は青色の線のようになり、観測された気温とは大きく異なります。
このことから、20世紀後半以降に続いている気温の上昇は、人間活動による二酸化炭素の増加が主な原因であることが、科学的に強く示されています。
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●気候モデル
●天気予報
●シミュレーション
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未来の気候を予測する
それでは、地球の気温は今後どのように変化していくのでしょうか。それは、私たち人間がこれからどれだけの二酸化炭素を排出していくかに大きく左右されます。IPCC(気候変動に関する政府間パネル)では、いくつかの温室効果ガス排出量の将来シナリオを設定し、多数の気候モデルを用いて計算することで、将来どの程度気温が上昇するかを調べています。
この図は、各シナリオにおける産業革命以降(1850年以降)の気温上昇量を示しています。左側ほど排出量が少ない持続可能なシナリオ、右側ほど排出量の多い従来型の発展を続けるシナリオを表しています。
2015年に開催された国連の第21回気候変動枠組条約締約国会議(COP21)では、地球の平均気温の上昇を産業革命前と比べて約1.5℃から2.0℃以内に抑えることを目標とする、世界共通の長期的な取り決めである「パリ協定」が採択されました。
この目標を達成するためには、図の左側に示されるような持続可能な排出シナリオに沿って進む必要があります。しかし、近年の観測によると、地球の平均気温はすでに産業革命前と比べて約1.2℃上昇しており、年によっては1.5℃近くに達しています。
今後も従来型の発展を続けて温室効果ガスの排出が減らなければ、今世紀末には平均気温が4℃を超えて上昇する可能性があると考えられています。

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●IPCC
●パリ協定
●SSPS
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温暖化が豪雨に及ぼす影響
地球の温暖化は、単に平均気温が上昇するだけではありません。気温が上昇すると、大気中に含むことのできる水蒸気の量が増えます。大雨のもととなるのは大気中の水蒸気であるため、温暖化が進むことで、大雨の強さや発生回数が増える可能性があります。
この図は、高解像度の気候モデルを用いて計算された、現在気候と将来気候(平均気温が約4℃上昇した場合)における年最大日降水量(いずれも10年間平均)の分布と、その比率の分布を示しています。年最大日降水量とは、1年のうちで最も多くの雨が降った日に何mmの雨が降ったかを表す大雨の強さの指標です。一番右の図では、赤色ほど将来気候で大雨の強さが増すことを示し、青色ほど大雨の強さが弱まることを示しています。
現在気候における雨量の分布を見ると、平野や盆地に位置する岐阜や高山では年最大日降水量が相対的に小さく、山間部に位置する萩原では相対的に大きくなっています。岐阜では、現在気候はおよそ100mm程度ですが、将来気候では約200mmとなり、2倍近くに増加します。一方、萩原では、現在気候でも将来気候でも約200mm程度となり、大雨の強さの比率はほぼ1倍となります。このように、温暖化による大雨への影響には、同じ岐阜県内であっても地域差が見られます。
岐阜県は、古くから大雨による災害にたびたび見舞われてきました。平均気温が約4℃上昇するような温暖化が進めば、県内の広い範囲で大雨の強さが増すと考えられ、大雨災害のリスクがさらに高まることが懸念されます。

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●線状降水帯
●岐阜県の土砂災害
●岐阜県の洪水災害
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公開日 2018/02/28, Online ISSN 2185-467X
温暖化が台風に及ぼす影響
温暖化の進行は、台風の性質にも影響を与えると考えられています。台風は、ひとたび上陸すると、大雨、暴風、高潮などの災害をもたらす気象現象です。台風は、多数の積乱雲が集まった構造をもち、暖かい海面から水蒸気を供給されることで発生・発達します。温暖化によって気温だけでなく海水温も上昇するため、台風はより発達しやすくなると考えられています。
こちらの図は、気候モデルを用いて計算された、現在気候と将来気候(平均気温が約4℃上昇した場合)において東海地方に接近する顕著な台風の進路と風速を示しています。台風の進路の違いは被害の大きさに大きく影響するため、さまざまな進路を想定して多数の計算が行われています。
その結果、現在気候の台風による名古屋港での最大風速は約41m/sであるのに対し、将来気候の台風では最大約54m/sとより強くなることが示されています。将来気候における顕著な台風は、1959年9月にこの地域に甚大な被害をもたらした伊勢湾台風を、大きく上回る規模となる可能性があります。
さらに、上陸する台風によって生じる高潮にも警戒が必要です。
この図は、高潮モデルを用いて計算された、現在気候と将来気候における伊勢湾・三河湾の最大高潮の分布を示しています。高潮とは、台風の気圧低下による海面の吸い上げや、強風による海水の吹き寄せによって海面が上昇する現象です。
将来気候では、現在気候と比べて、伊勢湾台風を上回る規模の高潮が、広い範囲で発生する可能性が示されています。
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●海の温暖化
●台風
●高潮
出典・リンク
●吉野 純, 山本 康平, 村田 昭彦, 小林 智尚, 直接ダウンスケーリングによる伊勢湾における可能最大高潮の将来変化, 土木学会論文集B2(海岸工学), 2019, 75 巻, 2 号, p. I_1189-I_1194
公開日 2019/10/17, Online ISSN 1883-8944, Print ISSN 1884-2399,
温暖化が社会に及ぼす影響
温暖化は、単に平均気温が上昇するだけでなく、水資源、自然生態系、沿岸域、異常気象など、自然環境のさまざまな側面に大きな影響をもたらします。
その影響は、農林水産業、金融、国土保全、エネルギー、医療といった、私たちの身の回りの社会や産業にも及びます。その結果、世界規模で、私たちの豊かで、安全、安心な生活が脅かされることになるのです。
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●温暖化の水資源への影響
●温暖化の自然生態系への影響
●温暖化の沿岸域への影響
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私たちが今できること
温暖化の影響を最小限に抑えるためには、私たち一人ひとりが、今できる対策を確実に進めていくことが重要です。地球温暖化には、「緩和」と「適応」という二つの取り組みを、両輪として進めていく必要があります。
緩和とは、これ以上温暖化が進まないように、原因となる二酸化炭素の排出を減らすことです。そのために、私たちは脱炭素の取り組みを一層進めていかなければなりません。例えば、再生可能エネルギーの利用を広げることや、節電や省エネルギーを進めることが重要です。
一方、適応とは、温暖化が今後もある程度進むことを前提に、その影響にあらかじめ備えていくことです。激甚化する気象災害への防災・減災対策、熱中症の予防、感染症への対策、農業における品種開発や作物転換などを、今のうちから着実に進めていく必要があります。
みなさんも、身の回りでできる温暖化対策について考え、話し合い、実際の行動につなげていきましょう。

詳しく調べるためのキーワード
●地球温暖化の緩和策
●地球温暖化の適応策
●再生可能エネルギー


